収穫の秋
吉田ぐんじょう
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コンバインが
おもちゃのように点々と
そこここに配置され
軽トラックが
ちゃかちゃかと走る
収穫の秋がきた
辺りには喜びが
薄い金色に色づいて漂っている
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コンバインが刈るのは
ぴんと並んだ子供である
うまく刈らないと
子供はコンバインのなかで
ばらばらになってしまうので
農夫たちは慎重に
優しく優しく子供を刈り取る
くすぐったそうに歓声をあげる子供たちは
刈られるとすぐに軽トラックに移される
そうして洗われ
よく乾かされ
いいにおいになったところで
裸んぼうのまま
どこかへ連れていかれてしまう
わたしもあんな風にして
ここへ連れてこられたんだろうか
道端では
とりこぼされた子供たちが駆け回り
その後ろでは子供の残骸が
用水路に流されてゆくのが見える
用水路に捨てられた子供の残骸は
すうっと溶けて消えてしまう
秋の空気は
何故か焚火のにおいがする
・
やがて夜になると
すっかりきれいに刈られた田んぼに
静寂が訪れる
コンバインも軽トラックも
おうちの車庫にしまわれた
また春になったら
田んぼには水が張られ
子供の苗が植えられるのだ
用水路は真っ黒い水をたたえて
月光の下を流れてゆく
その水面からは時々ぱしゃっと
子供の腕が突き出されるそうだ
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