天国の住所
虹村 凌
郵便番号もわからない
気だるく光る朝の太陽
トンネルの中で輝き続ける
あのオレンヂ色の光の方が綺麗だと思った
星に願いをかけた事は無いと思う
目を閉じて夢を見る事は何度かあった
珈琲に角砂糖を落として
薄いカーテンを閉じる
夜明けの青からオレンヂ色に変わる
あの空に虹が出ればいいのに
虹は出ないから
気持ち悪い色に
カーテンを閉じる
エレベーターに住みたい
エレベーターの中
あの箱の屋根裏
あの縦に長い暗闇の底や天井
基盤やコードがゴチャゴチャと置いてあるであろう
暗い屋根裏に薄暗く輝くレコードの聞ける管理室
ガソリンスタンド
カフェ
キャンピングカー
コンビニ
カラオケ
映画館
立体駐車場
駅
住みたい場所は沢山ある
何処に行けばいいのかわからない
何処に行こうかわからない
片っ端から住所を調べてみても
読んだ事の無い記号ばかりで
大きく吸い込んだ息は紫色だった
寝つけない夜に一等好きな服を着て出かけよう
大好きな映画の投影機を心で回して