さよなら遺跡
umineko
ひとつひとつは とても小さな
出会いだったり さよならだったり
やさしかったり 冷たかったり
忘れていく 揺らいでいく
確かめるすべもなく
流れていく 壊れていく
それがとてもゆるやかなので
私は気づかない
こんばんわって ひらりてのひらを
ひるがえす それだって小さなサイン
もう
逢わないようにしようか、って
あなたは
いつ切り出すのだろう
わたしは
ずっと気づいてる
垣根の夕顔が もう咲かなくなった
花たちは冬支度だ
どの季節が好きなのってあなたが聞く
夏かな
ひとりにしないでって
ひとりになりたくてそう叫ぶ
ボンペイの
火山灰にうずもれて
100年後
200年後
遺跡としてわたしを切り出せ
わたしは
急ぐ少女として
ミュージアムに飾られて
ショルダーをぎゅっと握って
足早にゆくわたしの遺跡は
ミュージアムのガラスの向こうの
過去だったあなたをみている
届かないなら
どこも同じだ
わたしは
胸を押す風圧を
伝えるためにここに来た
好きです と
届かない は
いつまで
同義なのだろう