雨の味
rue

いやな臭いに目が醒め
草刈をしてるのは知らないおっさん
円盤は回り続けノコギリの刃が
破壊へ導いていく

お金がなかったので
電車を乗り継ぐ分のお金しかなかった。

「売りますか?」
と友は明るくはつらつと僕の目を見て言った。
僕らはハハハと笑ったが彼女は本気だったようだ。


母が死に、僕の家は毎日が御通夜のようだった。

そこで僕は「結婚しようと思うんだけど」と
父に相談を持ちかけた。
あまりにも惨めな背中を見るのが
嫌だったからだ。

もういいんだよ
荒んだ心が映す本音を隠し続けた
歪んだ僕の姿
急に他人行儀なった君の姿
連絡がなくなった君の心

孤高と呼ばれるため空を見上げて
黙って黙って黙って
何にもありませんでした。
青い空にパックリ呑まれた地上の私達

ピエロのようにとぼけた芸で拍手喝采
自分で自分が許せないんだ
他人だって許さない

だから時々こうやって懺悔するんです。
許されないのは、わかっているけど
すがる者もいない
驟雨を見つめてただ手首を切るだけ
幾重にも重なった傷跡


自由詩 雨の味 Copyright rue 2004-05-31 11:59:44
notebook Home 戻る