いつかの少年
umineko


コウちゃんはプチ家出中
あるじのいない暗い部屋には
ただ
散乱するユニフォーム

ことの起こりはこうだ
高校生のお弁当タイム
コウちゃんは
意気揚々と開いたらしい
すると

そこにあったのが
ゲキレンジャーふりかけ!とは

おかげでクラスの笑い者
(当たり前)
やれファッションだの音楽だのと
崇高な思想は
水泡に帰す

烈火のごとく怒った彼は
以後すべての飲食を拒否
だがお弁当を作った彼女も
一歩も引かず迎え撃つ

そうして我が家は
焼け野原へと

味とコストと栄養と
彼女の正義は
それは正しい

だが
すべての女性たちよ
世界中のコウちゃんは
ゲキレンジャーを断固拒否する

理屈はないのだ
バカバカしいのだ
だがどうしてもダメなのだ

そのバカバカしさに
寄り添っていい

世界中をなめ切って
壮大なほらを吹いてこそ
少年という生き物だから

その美学を前にして
ゲキレンジャーも吹き飛ぶだろう

少年よ
あきらめろ
世界は君を認めない

だがいつか
世界中の首根っこ
むんずと掴んでぶんぶんと振れ

世界は
君にひざまずく
 
 
 


自由詩 いつかの少年 Copyright umineko 2007-09-12 02:47:31
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