立ち話
フクロネヅミ
近所の人が芸能の話題で盛り上がっていた。
聞き耳を立てつつ、玄関前の植え込みの草をむしる。
ああ、大御所と呼ばれる人たちは
ちやほやという栄養をたくさん食べなければ
生きていけないらしい。
ああ、若手と呼ばれる幸薄そうな人たちは
ちやほやを生産するかわりに守って貰わなければならないらしい。
アリとアブラムシの関係みたいだ。
となると、テントウムシは私たち
平凡な凡人のことを指すのだろう。
冷ややかな目でアブラムシをけなしては
その薄い幸をはぎ取り、土の上へ投げる。
世界は何処を渡ってもシビアなもんだな
植え込みの外れで、かろうじて頑張る向日葵を見ながら
普通の生活を退屈だと思っている。