痴話
フクロネヅミ

なんだおまえら
と、思うはおやつの頃の喫茶店の中

やつら
梟みたく囁いて昼間の光に盲目になっている
バードキス
ひどく汚い音


男は小太りで
ああ、豚骨の匂いがしそうなくらいぎらぎらで
(あっちは小さそうだ)

女は妙に細く
ああ、ウエイトレスが鏡なんぞ持ち出したら
訳の分からんことを言い出すのだろう
さしずめ鶏ガラか
(二人、ラーメンのダシになってしまえ)


そうして、昼の
いつもなら涼しげなこの空間が
熱帯雨林さながらと化す


蒸し暑い
蒸し暑い
暑い、暑い
視覚効果でイライラするのは私だけでないらしい


いくつものピンポン球が
宙に浮いたのがその証拠だ
(私の目玉もピンポン球だ)
ああ、同志よ
共に冷ややかな思念を送ろうではないか


ムムム
ムムムムム
ムムム
ムムム



(ああ、コーヒーが冷める)
ズズッ



と、トタンに女
いつの間にかずぶ濡れ
ピィピィ、キャァキャァとわめき出すではないか
(いつの間に鶏ガラから猿に進化したんだ)

しまった



あれよあれよ
豚骨が怒鳴り
鶏ガラがヒスを起こし



まるで動物園に来たような



いや、異種格闘技戦か




隣の親父が
其れやれ、もっとやれなどとはやし立て
とばっちりを食らっていたのは言うまでもない



今日はついてないのだろう


こんな日だから、
私の彼女も来ないのだ。



自由詩 痴話 Copyright フクロネヅミ 2007-09-10 09:08:07
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