ぼくはいぬ
青の詩人





ぼくはいぬ
といってもはしれない
ぬいぐるみのいぬ
ママもパパもいない
このへやに きづいたらいた

ぼくをだきしめて ほおずりしてくれる
あのこが おおきくなってからもきっと
ぼくは ぬいぐるみのいぬだ

ぼくはいぬ
といってもほえられない
ぬいぐるみのいぬ
ひあたりのわるいこのへやのすみの
いすのうえにいるよ

あのこはさいきん あそんでくれない
ずっとつくえにむかっているみたい
いったいなにしてるんだろう
おえかきしてるのかな
おてがみかいてるのかな

おしゃべりしたいな

ぼくはいぬ
といってもしっぽをふれない
ぬいぐるみのいぬ
このたたみのへやのすみの
ちいさなはこのなかで くらしてるよ

あのこはどうやら
もうここには いないみたい
なんにもおとがしないんだもの

でも
いなくなるならせめて
バイバイとか またねとか
いってほしかったよ

もういちど
あのこにあいたいな・・・

「あっ、おまえ、まだここにいる!
なつかしいなぁ・・・。あいたかった!」

あのこがだきしめて ほおずりしてくれた
あったかい

ぼくはいぬ
はしることも ほえることも 
しっぽをふることもできない
ぬいぐるみのいぬ

だけど
あったかいのは
わかるよ




(「ぼくはいぬ」より)


自由詩 ぼくはいぬ Copyright 青の詩人 2007-09-09 02:24:15
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