アンティーク
うわの空。
趣味のいいワイングラスに
昨日ためこんだ夜の雫、
上品に傾けても
逃げるように失われていく
アンティークなこの脳の活動には
ねじを巻くのと同じような要領で
こんぺい糖のような
恋しいノスタルジィが、必要なんだ
忘れることの脅威にさらされながら
僕らは夢をみるよ
おとなの見れないわずかな灯りで
アイデンティティに鍵をかけた
現実に生きるなら
僕はストレンジャー
こんなネガのような世界で
脳のストックを夢中で探す
「アンティークで生きられるなら」と、
本音はそう言っているけれど