帽子屋の夜は雨降り
朽木 裕

硝子玉みたいなブルー ひとしずく ふたしずく
冴え凍るようなアイスブルー 色に反してあたたかい

白磁の肌にそぅっと触れる

(それは白昼夢のように奇妙な儚さを持つ)

光にたなびく髪は金色
風を含んで揺れる 嗚呼 君に触れたい

(黒い帽子のつばに夜の帳が降りてくる)

赤い薔薇より尚 赤い口唇

嘘吐きなんて云わないでくれ
生まれてこのかた本当のコトバなんて知らないんだ

君のことを愛してる?
それは本当のことかな?

緑の芝生にひるがえる 白いフリルのワンピース

細いその肩を掴んでその顔に恐怖を?

(出来やしない それは全て白昼夢だ)

ひとしずく ふたしずく あたたかい涙

帽子屋の夜は今日も雨降り


自由詩 帽子屋の夜は雨降り Copyright 朽木 裕 2007-09-07 22:39:51
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