不器用のむこうがわ。
哀詩

 

あなたが知っているのは遠くの記憶と貶めかたであり、
それらをもってしての言動にはいつも薔薇のような棘がつきもの
いくつも刺さってしまえば、存外痛くないことに気が付いた。
(小指をぶつけたら痛いのに足全体をぶつければあまり痛くない法則。)


やはり無理そうだ、などとぼやいてみては右胸に掌をあて、
心臓が動いていないことを確かめる。
(当たり前のことを確かめていないといつか間違えそうでこわくって、)


あなたの代わりに壁とくっついていると己の鼓動の
反響か、壁の鼓動か、ただの記憶か
耳ざわりに どくんどくん あなたを思い出す音が聞こえる。
(そこで眠りたくなる衝動に陥るのは、あなたがためではない。)


言葉はあいまいだからと行動で示せど、
こちら側感じ違えてしまえばそれで終わり。
(例えばあなたとのあまく優しい接吻がただの薄汚い奪い合いになったり、)


要は均等にすれば問題はないのだろうとして、
臆病にも均等のことばかり考えていたらいつだか行動できていない自分がいて
(なさけないや、ふがいないや、なみだ、こぼるるや。)


自信は喪失気味であなたの白薔薇の棘を受け止めている。
あなたの愛にみあう価値はないと思うけれどと言えども
あなたはあまく切なく憂鬱な見返りを求めてくれている。

 


自由詩 不器用のむこうがわ。 Copyright 哀詩 2007-09-07 08:58:17
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