雨
宮市菜央
雲行きが怪しい夜明けに
薄手のワンピースとハイヒールで街に出る
どこへ行こうなんて考えられない
始発電車の行方は知らない
傘は忘れた みんな捨てた
どんどんなくなっていく
がらんとした私の部屋
私とあなたとの壁は一本の鍵
でもその鍵も捨てた
悲しみの他にあと何がある?
見上げると突然の雨が
前が見えない雫の中
明日こそはいい日でありますように
濡れて歩く坂道
二度とは通らなくても
遠くには光の筋
雨の向こうの光が見える
明日こそは希望が見えますように
濡れて歩く坂道
二度とは通らなくても