"生きたい"
ゆるこ
38度の微熱に
たゆたうひらがなの僕たち
和室の蛍光灯は遥か
ぼやりと暗室を彩って
呼吸器が外せなくなったころ
未熟な足は地面とキスする
そのまま溶けて
僕は骨を愛した
切りすぎた前髪
行方不明の小指
知らぬまに
こんなに世界は明るくなくて
蒸発してはりついた瞳が
だれかの手で縫い合わされていて
裂くことすら臆病に
部屋の隅っこでヘッドフォンを着けた
こんな個室に
水溶液を流し続けて
いつか止まってしまうたくさんが
とても怖くて仕方なくて
蜂が足を折り込んで死んでいて
僕は亡骸を噛み砕いて
水溶液を飲み干して
そうやって死んでしまいたくて
(ゆらゆらと日常
(蜉蝣のゆめ
(光の渦が
(イレギュラーなぼくらが
噛み締めた矯正器具
じわりと血が唇を染める
こんなにも
叫んでる
醜い程に
叫んでる