秋のぶらんこ
石瀬琳々

近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこのままで抱かれていよう


遠ざかってゆく
空がどこまでも白い雲をはらんで
遠ざかってゆく
熱い流砂のきらめきを
忘れるために手をのばし
スカートをゆるやかに舞わせて
遠ざかってゆく
夏のレースの静かなきらめき
私の中でそっと手をふろう


さあ そろそろね
といって私は着地する
しっかりと踏みしめる
秋の感触を はだかの足で




自由詩 秋のぶらんこ Copyright 石瀬琳々 2007-09-05 13:47:36
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