あなたがとおい一日
哀詩



朝日は頬をたたくように照りつける。
ぐしゃぐしゃの髪をさわると、
よく頭を撫でてくれたあなたが想われる。
素敵な朝は、さみしい気持ちでみたされる。

顔を洗って、太陽に引っ張られた頬がうるおうと、
少しばかり涙腺もゆるむ。

(その後は他愛のない話、会釈、解釈、愛想。)

帰ってきて、着替えると
あなたがほめてくれた服の香りに埋まる。
うつってしまわないように、箪笥の一角を隔離して、
こいしい気持ちとしまってしまう。

夜になって、ベッドにはいると
あなたが触れたあたしをたしかめる。
数えきれないくちびるが、
あなたをいっとう遠くに据えてしまう。

かなしいおもりはベッドにしずみ、
こごえる夜は己の体温でおぎなう。

いとしいあなたの顔は、声は、
(なんだかぼやけていて今にも忘れそうなのに、)
夢の中、はっきりとあなただとわかるの。


しらないきもちに追いやられると
視界がぼやけはじめて、

また朝がくる。


(かなしみに慣れはしないことを、あなたは今になって教えてくれている。)
 
 


自由詩 あなたがとおい一日 Copyright 哀詩 2007-09-05 07:14:49
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