農園
「ま」の字
ひとが生えている
近寄ると体温が匂う
生えたばかりの子株が
かわゆらしく親にしがみついている
泣き顔、笑い顔、憂う顔
みな目を閉じ
しずかに空の下にたち 並ぶ
農夫の姿は見えない
蒸し暑い午後
杭にラジオが鳴っている
「どの地方も視界から消されてゆきます
世界はいつも活気だらけです」
番組がかわると
あとはまた陽気な音楽
けれど
細流ひとつない
貧しい農園
雨だ
きゅうに人と雑草の区別がつかない
子株をひきちぎり
ディンゴが素早く疎林に消える
目を閉じ
風に揺すぶられ
ひとが生えている
-グローバルの時代に