狗月先生
よつやとうじ

何処か遠くの
坂を流れる
明後日の雨には
耳に馴染まぬ
ぴきぴきが
混じっています

夜の重みで
屋根は脆く
傘の骨刺さる喉が
ひどく不自由で

独りぼっちもまた
手の込んだ
贅沢なのです

部屋の隅のほうでは
鼻を病んだ空腹が
膝を抱え
じっとこちらを
見ておりまして

とりあえず
パンの耳を
欲の耳だと言い張って
与えますが

先生
どうやらこの夜も
適者生存の夜のようで
混紡の息苦しさに
消えそうになるのです


自由詩 狗月先生 Copyright よつやとうじ 2004-05-29 23:50:07
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