その海から(理由)
たもつ

ポケットが汚れ始めている
待合室は朝から眠たい
何かの整備工の人が
口を動かしている
語りかけるように
沈黙を選ぶ言葉があった
目を閉じようとすると
少しばらばらになる
水が優しい濃度の塩分を含み
つなぎとめている
空の遠いところを
爆撃機が行く
守ることではなく
守られることに慣れてしまった
僕たちは何度も殺しあい
笑いあい、そしてまだ
愛していたのだ


自由詩 その海から(理由) Copyright たもつ 2007-09-02 19:29:29
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