果て。
有邑空玖



叶わない思いなら、
最初からなければ良かった。
誰にも何にも執着したくない。
水のように生きて、
風のように彷徨って、
森のように其処にいて、
炎のように消えてしまいたいって、
そう思っていたのに。


君がいないと云うだけで酷く広い空。
色のない世界。
音のない町。
こんなにも苦しいなんて、
神様は酷いひとだ。


美しい歌も景色も意味がない。
存在している意義すら見失ってしまいそうだよ。
それともそんなものは最初からなかった?


神様は意地悪だ。
徒に人生を交差させないで。
擦れ違うだけで良かったのに。


何を見ても君を思い出してしまうのなら、
こんな目なんかいらない。


君がいないこの町で、
何を探せば良いんだろ。
祈りの果てに、
微かにでも光があると云うのだろうか。



自由詩 果て。 Copyright 有邑空玖 2007-09-01 21:45:20
notebook Home