よかった
小川 葉
海が近いことを知り
かなしみをさまよい
また生まれては
消えゆくものの儚さは
通り雨のように
振り返ることもない
いのちもまた
空のしたに
ゆたかにたたえられ
空もまた海に
鮮やかに映しだされ
すべての存在は
あるとくべつな意思により
あるいは価値によって
ゆるされていることを
やがて知るだろう
美しく広がる波紋を
産みだすあなたを
いま空と海の
境界のあたりで
抱きしめたくおもう
そしてそれらが
重なり続けることで
信じ合うこともできるのだと
いまあなたに
そのことを
言うことができて
本当によかった
この世界に愛があって
本当によかった