夏気球
アズアミ

あの青は知っているのだろうか

大海の向こうの優しさを
国境を越えた憎しみを
アスファルトに染み込んだ綺麗な血の匂いを
埃まみれの文字に隠された秘密を
届かずに色を失う百億のコトバ達を
長袖に隠した傷跡を

そして ちっぽけな私達の呼吸を


生温い水の底で
受け取ったプランクトンだけを食べ
流れに逆らわずに泳ぐ季節はもう終わり

少しだけ進化して、あの風に乗ろう?

エンボス雲に飛び乗って見渡せば
全ての想いを繋ぐ
リンクの銀河が見えるから


どこまでも連れていってよ
夏気球に 乗って


自由詩 夏気球 Copyright アズアミ 2007-09-01 01:49:01
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