おやすみ、金魚
朽木 裕

さようならに染まる夜の向こうに君はいて
こっちとあっちでチクタク秒針
多分 君はもう寝てる

その頃 私は浴室で現在未来を考える
今日生きていた 明日も生きていたいって

シャワーの中で呼吸をしながら
消えた金魚のことを想う

知らないうちに居なくなってた
気付いたら9―2匹になってた

多分 君はどこかの土の中に眠る

いつも名前つけられなくてごめんな
命に名前がつけられないなんて無責任かな

黒髪から落ちる雫に呼応して
ぱしゃん、と波紋
残る命は果たして2匹の葬いをしただろうか

夜の中 泳ぐ命
どうか明日も生きていて
希いをこめて呟く

おやすみ、金魚


自由詩 おやすみ、金魚 Copyright 朽木 裕 2007-08-31 21:59:39
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