黒子 恭

思考する頭の中が
湿るほんの少し前で
知りたくも
知れなかった日々は
白々しく弛緩してゆく
心音も都会に潜り、
叱られて跪き、
縛られて 縛られて
死んだら涙も出ない
死んだら言葉は出ない
 
***
 
幸せ、
しやわせ。
真摯であれ、か。
仕方なく
詩人は生涯を
至極普通に描き、
死人は将来が
至極普通であると知り、
獅子は恐らく
獅子である事を辞め、
しぃぃんと 静かに。
 
***
 
正直者は喰はれ
信ずる人も喰はれ、
 
芝居は芝居であれ
シノプシスは隠され、
 
死んだら何になる
色彩が無くなる
性のない日々だけ残る
 
***
 
時雨る
視界はさめざめと
色素の記憶を
消化してゆく
 
しきりに
しゃなりしゃなり と
喋る人も
静かに
偲ぶ貴方も
 
死別とは違う
真実を求むる
 
 
 


自由詩Copyright 黒子 恭 2007-08-30 03:54:16
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