心拍数。
もののあはれ
やめたいと言うと
やめちゃいなと君は言う
そんなに簡単じゃ無いよって言うと
いつも簡単だよと返される
いつか君は僕をやめるのか
いつも簡単みたいだから
とても恐ろしい
一先ず君の胸に耳をよせて
心拍数を把握しておく事にする
一緒だねと言うと
一緒じゃないよと君は言う
どうしたら一緒なのって聞くと
すごく難しいよと返される
いつから僕らは別々なのか
すごく難しいみたいだから
とても哀しい
一先ず君の背中に指をあてて
足りないものを探り当ててみる
もういくよと言うと
気をつけてねと君は言う
君はいかないのって尋ねると
どこまでも深いからと返される
いつからか溝の底はみえなくなった
どこまでも深いみたいだから
とても埋まらない
一先ず君の額に口づけをして
残された時の隙間を埋めてみる
嘘だよねと言うと
ほんとだよと君は言う
空は嘘みたいな青だよって言うと
ぜんぶ零れちゃったよと返される
いつのまに手を離してしまったのだろう
ぜんぶ零れたみたいだから
とても還れない
一先ず君が好きな突拍子も無い嘘をついて
僕の好きな君の笑顔に最後の別れを告げた