サンクチュアリ
アマル・シャタカ
幾度か見あげた空に
映ったものがなんであったのか
たぶんもう忘れてる
紙パックの恋だったものは、いつも回収されて
手元に残されたのは飢え渇きばかりだった
今日もどこかで再生産されているだろう過去の
賞味期限切れの思い出は
商業主義に呑まれるだけの
遠い昔
この世に生まれる遥か前
二つに裂かれてしまったものを
ようやく僕は見つけたよ
夜明け前に肌を重ねて刻んだ契りは
螺旋の中に描かれたもの
絶えず結ばれたいと疼くのは
裂かれた二つが戻る叫び
見せかけの空は破れて
巻き取られていく大気の重み
絡めた舌に互いの苦しみを乗せて咀嚼し
繋いだ性器が行き場のなかった淋しさに震え
欠けていたものを放出しあう
腕を背に回し根を張り合って離れぬように
約束通り見つけたその喜びが
雨を呼ぶ
新しい世界に芽吹く僕達の世界は
二人の鼓動で六種に振動し昼と夜を生む
薄闇の目覚めは
もう、一人じゃない
凍える夜さえも
僕達は生命樹
滅び行く世界の中で受精し
誰に見られることなく芽吹く
ささやかな聖域