あたらしいもの
小川 葉

階段をのぼる足音の
海をさかのぼる
波音が今
わたしの深い
大陸棚に
ぶつかる音がして
なにも見つからない

ちいさく
広がるだけの星が
こぼれる秋
虫の声が燃えている

理由にわたし
そっと耳をそばだてて
過ぎたばかりの時をおもう
列車の夜
残響そして
窓の外
川が消えている

忘れるだろう
鳥はみずからの声を
壁の向こう側で
階段とまちがえて

せまくのびる
朝焼けのなかで
生まれては染まる
色のように

あたらしいものに
変わっていく


自由詩 あたらしいもの Copyright 小川 葉 2007-08-28 00:07:42
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