ぜったい退屈
大覚アキラ

だれかの温かい肌や
柔らかい身体の感触が恋しくなって
抱きたいなあとか
抱かれたいなあ
なんて思うけれど
ひとりぼっちで眠るとしても
ふたりで抱き合って眠るとしても
眠ってしまえば
結局はひとりなのだし
覚めない眠りと
死ぬことのあいだに
どんな違いがあるのかさえ
よくわからないのだし
それどころか
わたしたちはみんな
死んでしまえばひとりなのだ
それは寂しさという感覚とは
きっとまったく別のもので
孤独ともまた違うもので
むしろ退屈に近い感覚だと思う
退屈はどこかから訪れるのではなく
きっとあらかじめ
わたしたちの身体の中に
埋め込まれているのだ
そうでなければ
生きることがこんなにも
退屈なはずがない
退屈に息の根を止められそうなとき
わたしたちはきっと
だれかの温かい肌や
柔らかい身体の感触が恋しくなって
抱きたいなあとか
抱かれたいなあ
なんて思うのだろう
それはもしかすると
心中できる相手を
身体が求めているだけのこと
なのかもしれない


自由詩 ぜったい退屈 Copyright 大覚アキラ 2007-08-27 17:23:20
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