追憶
ゆるこ

透明な
沢山の唾液を
己の弦に着けて
震えた空を
優しく眺める
 
ぬらぬらと
赤光は髪を染め
純粋な声が
遠くに吸い込まれた
 
静かに行われる
養分の脈動は
椅子を愛した男の心音と
まるで同じで
不埒な程のネオンが
暖かな涙に変わるのは
一種の幸せな魔法だと
薄い唇は語る
 
沢山のコードが
ぐらりごりごりと
体の中でのたうちまわる
その度に不安定な足の裏は嘆き
枯れ果てた意義は無くなり
ただの人形へと変貌する
 
 
紙風船が
路地裏の風車を蹴り飛ばし
新しい、と呟けば
それは明日の始まりだと
信じて疑わなかった、ころ


自由詩 追憶 Copyright ゆるこ 2007-08-27 10:39:13
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