■共同作品■ 蒼もしくは青
Rin.



 「蒼い旋律」


記憶の中から抜けて舞う譜面一枚奏でてみれは゛半音の思い出




セロを抱え閉じた目の中咲く花の絡む紫苑は夕闇の弦

放課後の音楽室でくちづけを交わす茜に止む君のピアノ

月光が閉ざした窓をノックして時の調べは高音でやむ

ひとつきり沈んだままの鍵盤に小指をあてて心音を聴く





「アオイ鎖」


空深く吸い込まれて行く自我の青痛みの色は手探りで知る

城壁に高くそびえた揺らめきの陽炎砦に夢たちの歌

明日の空たしかめるすべも知らなくて飛べない羽根をただ、ただ繕う

空蝉と頬を伝った夕立に打たれた心の不在証明

透明のモラトリアムに繋がれた君の一翼解き放つ青





   「青の飛翔」


この風で飛べる気がする夜空、星どこまでいこう翼広げて

群青の夜風に吹かれバイオリン過ぎ行く夏に共鳴のエア

大宙(おおぞら)はすべてで一つ時も越え 君との距離もきっといつかは

流星群思いの針の千と降る僕と君とを夜に縫い付け

星ごとに一つ人にも一つずつ欠ければ泣けぬピースをいだく

星屑の雨に打たれて夜を越え紫かすかな傷を味わう

窓越しの群青に乞う夜明け前捧げる白い言葉に溶けて

空と宙(そら)境目にあるステイション 始発は6時また咲く夏へ







短歌 ■共同作品■ 蒼もしくは青 Copyright Rin. 2007-08-25 00:37:30
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