グラスの中の過去
ぽえむ君
水を注いだグラスの中を
過去の思い出が通り過ぎてゆく
時には努力の思い出
汗を流している友の顔が
楕円に大きくなってゆく
大したことではなかったことが
大きな喜びだった
時には恋の思い出
二人で歩いた路地が
ゆっくりと過ぎてゆく
ささやかな喜びが
大きな幸せだった
そして時には悲しい思い出も
思わず目を背けたくなるものの
これもまた自分の思い出
過去は変えられることができないことを
その人に代わりがいないことを
理解以上に認識した
今もまた
いろいろな過去がグラスに膨らみながら
通り過ぎてゆく