たぬきの会議。
クスリ。



蒼夜に月は上弦で
雲をゆらるとナガレテル

時の経過と動かぬ森と
月の記憶と揺るがぬ意志と
夜の明けないたぬきの世界


微妙にずれた月影に
エッジ鋭いたぬ森が
「イマ」をゆらると吐いている


たぬき・ワールド、ラテンの気配
月舟、夜に森の上
今夜はたぬきの会議です


『こんばんは』
『ぼく、たぬきです』


たぬきの礼儀は正しくて
あるいは意味が不明なのですが

大事であるのは形式と
カリカチュアライズされた美意識です


『こんばんは』

『こんばんわ』


会話ふたつで予算は議決
なるほど確かに合理的


時、月、朧。
たぬきの森で
会議はやがて居眠りに


これが噂の「ネーリ」の位相


眠るたぬ族、月の上
静かに夜を流れます


「たぬき・ネーリ」でナガレテル
月とたぬきは美意識と礼儀を統べて
矛盾に気づくと眠るのです

月とたぬきの「ネーリ」の位相

矛盾はいつも美しく
夜蒼は世界を呑むのです




自由詩 たぬきの会議。 Copyright クスリ。 2007-08-24 18:14:04
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