「 ナホとナミダと涙と、夏。 」
PULL.
線香花火よりもはやく落ちるナホのナミダも効かない「あいつ」は、
知らない水着の跡「誰と。」とは訊かれず裸にされる太陽の下。
シーツの上の砂粒数え浜辺の秘密また想い返してる。
黒点のように落ちる汗ナホの涙で濡らしてみても渇く夏。
「明日はいらない。」残る夏をかき集めもう一度夏をはじめて。
「あいつ」だって知らないこの夏がいつはじまっていつ終わるのかなんて。
「夕立の中なら泣いたって叫んだってわからないよね。」とナホは、
「どしゃ降りの中で抱きついてそのまま雷に打たれちゃえばいいのに。」
ナミダと涙どう違うのかわからないでも「かなしみ」は知っている。
了。