慈雨
風音
雨が季節を変えていく
寒いほどの涼しさを携えて
降り続ける雨は
万物に等しく降り注ぎ
木や花は
久しぶりの雨を
むさぼるように
乾いた大地は
雨を吸って潤い
人々は
傘を差し
思い思いの場所へと散っていく
夏はすでに思い出に変わりつつ
季節はもう
秋の入口まで来てしまった
夜になれば
虫の音も秋の声に
感傷に取り残されそうなわたしも
雨の中
秋へと急ぐ
自由詩
慈雨
Copyright
風音
2007-08-23 12:15:21