おとしもの
由希

行き交う
小さな悪意と微妙な善意

溜息をつき、ふと見下ろせば

エノコログサ



都会の路の隙間から

ひっそりと顔を出す
猫の尾のような、ふさふさの穂



まさか、こんな所で会えるとは思わなかったよ



思い出す

何も考えずに
笑っていられた頃のこと



ひとつ、深呼吸



大丈夫

僕はまだ、頑張れる


自由詩 おとしもの Copyright 由希 2007-08-23 12:00:14
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