からす
月見里司

目は絶え間なく
開いているように見えた
拡がっていく穴に
ほどこす手をもたない
皆が
からすだ

羽がわずかに散る
つぎつぎと首を伸ばし
祈るようにくちばしを
鳴らした
雨の音だけが穴へ

月の暮れるのを待たず
音もなく
からすは滑りだし
無数の目が
すべてことなる方角を
向いてゆく

(まちは
おしなべてシルエットだ)


//2007年8月22日


自由詩 からす Copyright 月見里司 2007-08-22 23:58:15
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