つばさ みどり
木立 悟




微笑みかけた頬
何もない明るさ
目を閉じたまま


早く目覚めすぎた朝
何かが既に去った跡
曇と曇のはざまの手


子の膝もとに蛇はいて
緑に金に
息をしている


焦げた声が木をめぐり
屋根に映り灰になり
同じ色の午後を追う


冠と髪にひたされて
耳は少しだけ見えている
子は 色を聴いている


陰に生まれる光の泡
雨と枝のなかをすぎ
音と猫の眠りをすぎる


息を残し 蛇は飛び去る
子はゆうるりと冠にのせる
冠は 水に変わりしたたりおちる


空の途中で消える雨
緑へ金へ
降りつづく虹


片目の奥にひらく花
ひとつの文字にひらく森
子の手のひらの器を揺らす















自由詩 つばさ みどり Copyright 木立 悟 2007-08-22 20:10:23
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