遡る
ゆるこ

広告のチラシに空白を作って
自分の世界を広げていたころ
遥かに遠い場所で
狂っていた気がする
 
夏休み
朝顔
日記帳
 
全て投げ出して
風鈴を眺めてた
ちりんちりんと
感覚を麻痺させて
 
 
広告の裏側は真っ青で
海だか絶望だか分からないように
クレパスで塗り潰されていた
 
なんの個性もないんだってさ
なんの個性も、ないんだってさ
 
 
風鈴が鳴るのを止めた日
私も風鈴と同じ箱の中に入ろうとした
 
そうして閉じ込めてしまえば
あとはなにも動かなくていいから
 
 
 
私はきっとなりたかった
 
(海に、絶望の青に、風鈴に、クレパスに、広告に、)
 
 
 
 
なんとなく生きてたら
いつしか難しい年頃になってしまった
あの頃は、なんて
年よりくさい言葉覚えながら
 
 
 
望むものは、今も同じ。


自由詩 遡る Copyright ゆるこ 2007-08-22 01:16:22
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