波打っている
小原あき

アスファルトの道を歩いていたら
急に波打ってしまったので
なんだろうと首をかしげていたら
そういえばこのところの猛暑で
線路が歪んでしまったことを
思い出していた


ミニィは
アスファルトからの照り返しが強くて
肉球を火傷した


どうしたのだろう
少しばかり冷たい
土の上を歩けば良かったのに


土なんて
しばらく見ていない気が、する


波打ってしまったアスファルトを
それに沿って歩いていたら
いつの間にか海に変わって
人間はいつの間にか
水の上を
歩けるようになってしまうのだ、と
怖くなった


しゃがみ込んで
ミニィの肉球を見た
火傷の跡が
地球だった


いつまで燃え上がるつもりだろう
太陽の子供にでもなるつもりだろうか


焼き印を押されたミニィは
海の底に沈んでいった
リードはちぎれて
私だけ
置いてけぼり


いつか空は紫になる
魅力的な紫に、なる


地球は宇宙を誘惑して
支配してしまうに違いない


足元で波打っている海は
わずかばかりの希望で
その中に入れない私は
やっぱり暑さを嘆くしかないのだ、ろう








自由詩 波打っている Copyright 小原あき 2007-08-21 18:40:17
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