忘れ物
明楽
時々歩いてきた道を振り返って
何か落としてはいないか
何かを忘れてはいないか
確認するけれど
そこで思い出せたものは
忘れ物なんかじゃない
手にさげてたカバンの中
奥深くに入ってたものを
取り出してみただけなんだ
時々何を忘れたのか気になって
心をきゅうきゅう切なくするけれど
こぼれ落ちた滴はもとに戻らない
だから私は今日手にしたものを
一つ残さずカバンにつめて
明日へ持って行こうとする
1998
自由詩
忘れ物
Copyright
明楽
2007-08-20 21:57:16
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