シロツメ草の未冠
こうや

雨雲が忙しなく押し寄せて
射し 歪む 光の空
ケイコウトウの如く怪しげな
雷の前兆


家々が粗雑に窓を閉め
その響きに面をあげた
私以外の全てが
ヒューヒューと流れる


一粒雨が降るごとに
作り途中だったシロツメ草の冠は弱り
ヒューヒュー音が鳴るごとに
私の手元は焦りまごつく


ゴロゴロゴロと天の一喝
一瞬の鮮やかな明るみ
冠は手からくしゃりと落ちて
我慢できずに家へと駆ける


萎びくすみ始めたシロツメクサが
置いてかないでと束で泣く


「後ろ髪引かれる思い」を知った梅雨


夏が来れば忘れるだろうに
夏が来れば忘れるだろうに
忘れるだろうに



※未冠=ミカンムリ=ミカンノカンムリ=未完の冠
(言わずもがな造語です)


自由詩 シロツメ草の未冠 Copyright こうや 2007-08-19 20:02:20
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