フィルター
風音

風吹く道を歩いていると
草原の中に
なにか光るものが
僕の目にうつった。

それは薄い薄いガラスのような
氷のように冷たいフィルター。

僕はそれを目に当ててみた。

世界は悲しみ色に変わった。

美しさも
寂しさも
悲しみの色に染まって。

何もかもが
かなしくかなしく。

だれがこんなにも
悲しみのいろを落としていったのだろう。

僕はフィルターを外そうとしたけど
どうしても外れなくなってしまった。

きっと僕のための
悲しみ色フィルター。

これから先僕の目には
世界は悲しくうつって
いつか魔法がとけるまで
このままでいる。

だれもが悲しみいろの
フィルターをしていることくらい
僕だって知っている。


自由詩 フィルター Copyright 風音 2007-08-19 17:06:16
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