ノート(夜と水)
木立 悟




水に挿されたくちばしが
海を海へ引き寄せている
己れの舞を舞うものにあふれる


帳も 色も
響きを奪われ
なお鳴り響く


ひきちぎられた
半分に満たない
紙と鉛をひたす文字


歓声は消え
痛みは残り
ひとりを歩む


胸と胸の骨のはざまに
叫びの落ちる洞があり
時間を知らずにかがやいている


曇になる曇
閉ざされる門
蒼と白と 声やまぬ夜


罪のむこうにある罪が
静かに花を育てている
花は 人のように口をつぐむ


終わりの終わりまで波は到く
しずくに触れるものが
はじまりを聴く










自由詩 ノート(夜と水) Copyright 木立 悟 2007-08-18 23:07:51
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
ノート