浮遊する糸。
ぴぴぷる。

蜘蛛の糸に体重を預けるのは
不安のほうが少しだけ大きい
ここは薄暗くて
糸が切れる音が聞こえない
だから私は気づけない

誰かの巣を壊していること
私の腕を力無く動かす
絡み付いてきた白い糸達は
ゆっくりと腕を離れ、上へ浮遊してゆく
手の届かないように見える光は
きっと私が思うような距離に無い


落下しているように見える物は私じゃなくて
浮かんでいるように見えるあれも同じ


気泡のような液体が
また向こうへ浮かんでいくのです
目に見えない距離までいったそれは
どうなるのか私は知らないのです

貴方へ近づいたような気がするのも
貴方が遠くなったような気がするのも
私だけの感覚



私だけの感覚



少しの間体を残して
私は浮遊していく。



自由詩 浮遊する糸。 Copyright ぴぴぷる。 2007-08-18 07:24:16
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