線路上の人
なかがわひろか

線路の上に
等間隔に人が寝そべった
その上を
列車が通り抜けていった

バラバラになった体を
適当につなぎ合わせて
新しい組み合わせの人間が作られた

通勤途中だったサラリーマンは
女子高生の体に禿頭を乗せて
会社に向かった

女子高生の頭は
加齢臭のするサラリーマンの体に乗せられた
はあとため息をついて
彼女は学校に向かった

また新しい人の群れが
線路上に寝そべりだした
ちっちゃな子どももいる

私はちっちゃな子ども体の上に
死にかけの老婆の顔が乗ったら
さぞ面白いだろうなあと思って
一人で隠れて笑った

次は私の番だ

(「線路上の人」)


自由詩 線路上の人 Copyright なかがわひろか 2007-08-18 02:34:38
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