生きたがり屋
青井 茜
死にたい と
高齢社会に溶けた脳で
夏の高い湿度の中
叫ぶ
肌にまとわりつく
生き甲斐 は
段々と煩わしいものになってゆく
短い命で
生きることを精一杯謳う
セミに生まれ変わりたいと
願いながら
私は手首を切るのだ
幾重にも重なったミミズからは
青い筋さえも覗かなくなって
私は虫で遊ぶ少年のようだった
そこに珍しく
楽しさなど感じてしまったから
私はまた
死にたい と
少子化に飽和した心臓で
冬の低い気温の中
呟く
のだろう
自由詩
生きたがり屋
Copyright
青井 茜
2007-08-15 18:21:18