流星のふりつもる夜は
佐野権太

星のみえないまちで
拾った青黒い石を
隕石標本だといって
ポケットにしまう

今夜、星をわけよう
はくちょうと
おやこのくまは
君にあげる
いっかくじゅうさえ
あればいいんだ

永遠―――
しんじるさ
いつか
ばくはつするとしても
ぼくらは
とても短いから

きかせてあげる
君のだいすきな
ふたご座のよりそう
二十光年のかなしみと
果てのない
やみのおくゆきを

うそだとか
ほんとうだとか
そんなことより
はるかなそら
およいでいたいんだ

君は母天体のように
じょうずに
ももいろの尾をひろげ
ひかりの渦をかきわける
のばした指先から
こぼれおちる
いくつもの
りゅうし

そうだ
ぼくらの新しい星座をつくろう
星図盤をふりつもるほど
逆さまにまわして
もっと、もっと
光の速さで







自由詩 流星のふりつもる夜は Copyright 佐野権太 2007-08-15 11:50:45
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