あなたの目が 覚めたら   ⅱ
もも うさぎ

ここはプラードという
カタローニャの街で
寂れた旧市街には
悲しげなリュートの音が聞こえて

この小さな街に
カザルスは亡命してきたのだという

晩年 ホワイトハウスでカザルスが演奏したときの
言葉と'鳥の歌'を
あたまの中で反芻してみる

その教会への坂道を
木製のチェロケースを引きながら
カザルスは毎日登ったのだと いう



あたしは世界に取り込まれる

銀色の砂漠のような
粒が光ったと思い手に取ると
瞬時にそれは光りを失い

また違う粒が光る
そして いざなわれる

その月が
誓いを帯びた十字架のように
ましろな一片の
印象派の偶像であることを
あたしは分かる




現実と映像を行き来する


散文(批評随筆小説等) あなたの目が 覚めたら   ⅱ Copyright もも うさぎ 2007-08-15 03:15:51
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