夏の恋
N.K.
夏の盛りの日差しを受けたので
あの家の壁はあの人の肌のように白くなり
日陰がますます地面を焦がして
午後の家並みはきりりと彫が深くなり
空はじりじりとしてあなたへの思いのように
もどかしいほどに青く濃くなって
目に映るものすべては輝いている
恋に落ちた男女のように輝いている
手元の啓蒙思想家たちは
理性が美を統べるのだと私を啓蒙しようとするのだが
黙示録を知るはずもないアブラゼミは大量発生をして
この一瞬が永遠なのだといわんばかりに
命の限りに鳴いてる
まるで地上と恋に落ちたように
もちろんそれは林檎を地面に引っ張る力によるのでも
ヨブのような一見かたくなな正義によるのでもなく
ただ天気予報に従うならば
ただ今年からそう呼ぶことにした猛暑日とやらによって
怠惰な夏の風景が瞬時に何億という画素へと凍りつき
何百フォンもの虫の羽音が情熱的な愛のシンフォニーを奏でることになる
いったいこれはどういうことか
夏の風景は季節から解き放たれながら愛の秘蹟を叫んでいる
今年からただ天気予報に従って
こう思うこととしよう
いったい世界中は誰に恋しているというのか
まるで私があなたに一度だけの恋をしたときのように