夏の恋
N.K.

夏の盛りの日差しを受けたので
あの家の壁はあの人の肌のように白くなり
日陰がますます地面を焦がして
午後の家並みはきりりと彫が深くなり 
空はじりじりとしてあなたへの思いのように
もどかしいほどに青く濃くなって
目に映るものすべては輝いている
恋に落ちた男女のように輝いている

手元の啓蒙思想家たちは
理性が美を統べるのだと私を啓蒙しようとするのだが
黙示録を知るはずもないアブラゼミは大量発生をして
この一瞬が永遠なのだといわんばかりに
命の限りに鳴いてる
まるで地上と恋に落ちたように

もちろんそれは林檎を地面に引っ張る力によるのでも
ヨブのような一見かたくなな正義によるのでもなく
ただ天気予報に従うならば
ただ今年からそう呼ぶことにした猛暑日とやらによって
怠惰な夏の風景が瞬時に何億という画素へと凍りつき
何百フォンもの虫の羽音が情熱的な愛のシンフォニーを奏でることになる

いったいこれはどういうことか
夏の風景は季節から解き放たれながら愛の秘蹟を叫んでいる

今年からただ天気予報に従って
こう思うこととしよう
いったい世界中は誰に恋しているというのか
まるで私があなたに一度だけの恋をしたときのように




自由詩 夏の恋 Copyright N.K. 2007-08-15 01:18:13
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