デモン
ルイーノ



忘れられない
忘れられない夢を
見よう

東京に初雪が降りました
薔薇の朝もやが包む
音の無いクラッチ
冷えた象牙は瞳を閉じ
溜息をやがて具現します

蛍光灯
点滅で染まる室内
灰色に迷うミルクが
不思議な空洞を啜る
どこまでも
しめやかな虚無たち

冬は
肋骨を滑りおちる
角砂糖との溶解を眠る
緩やかな愛撫
噛み殺しているのは
静謐です

やがて
深部に触れるでしょう
フラスコは沈み
結晶は奪われ
踊っていました
忘れられない夢でした

キス
キス
また君の頬を描く
雪降る街
灯りを消し
そうしてそっと
キスをしました
 



自由詩 デモン Copyright ルイーノ 2007-08-15 01:16:35
notebook Home 戻る