じいちゃん
高木 しおへー

じいちゃん


みかん畑の
錆びたケーブルカー
私は指で 線路をなぞりながら
山を登る

真っ赤になる手と
ひっかかる指先
山の下の
この穏やかな海で 仲間が沢山死んだ

右手右目をなくし
足にはボルト
身体中にある 金属のかけらをまとい
私は
化け物のように 生きのこった

そして
今もまだ 生き続けている

孫たちの 
心に 私は生きている


自由詩  じいちゃん Copyright 高木 しおへー 2007-08-15 00:42:32
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